グレゴリー・ベイトソン

グレゴリー・ベイトソンは、20世紀を代表する思想家で、ミルトン・エリクソンと互いに影響を与え合った関係でした。ここではグレゴリー・ベイトソンについてまとめてみました。

 

出会い

 

エリクソンは催眠療法の大家であり、ベイトソンは人類学者、社会学者、言語学者、サイバネティックス研究者など、多岐にわたる分野で活躍しました。エリクソンとベイトソンは共通の知人である人類学者マーガレット・ミードの紹介がきっかけで出会ったと言われています。

 

当時、エリクソンはアリゾナ州フェニックスで精神科医として開業しており、催眠療法の分野で独自の技法を開発し、注目を集めていました。

 

一方、ベイトソンは、カリフォルニア州パロアルトにある精神医学研究所で、コミュニケーションと精神病理の関係について研究を行っていました。

 

ミードは、エリクソンの革新的な催眠療法と、ベイトソンのコミュニケーション研究が互いに共鳴し合う可能性を感じ、二人を引き合わせたのです。

 

二人は出会ってすぐに意気投合し、互いの研究に対する深い理解と共感を示しました。

 

エリクソンは、ベイトソンのサイバネティックスやシステム論の考え方に興味を持ち、ベイトソンは、エリクソンの催眠療法における非言語的コミュニケーション、間接的な暗示、そして変化を促すための「利用」の概念に感銘を受けました。

 

二人の関係性は以下の3点に集約できます。

 

共同研究と相互影響

 

二人は1950年代に、カリフォルニア州パロアルトにある精神医学研究所で共同研究を行い、コミュニケーションと精神病理の関係について探求しました。
ベイトソンは、エリクソンの催眠療法における非言語的コミュニケーション、間接的な暗示、そして変化を促すための「利用」の概念に強い関心を持ち、自身の研究に取り入れました。特に、ダブルバインド理論はエリクソンの影響を強く受けています。
一方、エリクソンはベイトソンのサイバネティックスやシステム論の考え方を自身のセラピーに応用し、家族療法の発展にも貢献しました。
2. 相互尊敬と友情

 

二人は共に、従来の精神医学の枠にとらわれない、革新的な思想家でした。互いの才能を認め合い、深い尊敬の念を抱いていました。
研究活動だけでなく、プライベートでも親交があり、家族ぐるみで付き合いがあったと言われています。
3. 後世への影響

 

エリクソンとベイトソンの共同研究は、家族療法、ブリーフセラピー、NLPなど、現代の心理療法に多大な影響を与えています。
また、二人の思想は、心理学、精神医学、人類学、社会学、コミュニケーション学など、幅広い分野で研究対象となっています。
具体例

 

ベイトソンは、エリクソンの催眠療法の技法を、コミュニケーションの分析や、変化を促すための介入方法として応用しました。
エリクソンは、ベイトソンのダブルバインド理論を、精神疾患の理解や治療に応用しました。
二人の共著である "Hypnotic Techniques of Milton H. Erickson, M.D." は、エリクソンの催眠療法の技法を体系的にまとめたもので、心理療法の実践家にとって重要な文献となっています。
エリクソンとベイトソンの関係は、学際的な交流と相互影響の好例であり、現代の思想にも大きな影響を与え続けています。

 

より深く理解するために、以下の資料も参考になるかと思います。

 

書籍:

 

『精神の生態学』 グレゴリー・ベイトソン著
『ミルトン・エリクソン 子どもと家族を語る』 ジェイ・ヘイリー編
『新装版ミルトン・エリクソン』